看護部門

【新入社員向け】ケアマネジャーとの会話がスムーズに!訪問看護・訪問リハビリでよく使う用語と例文集

こんにちは 角田です!
「病院勤務では、ケアマネジャーとの接点がほとんど無かった。」ということを求職者や新入社員からよく聞きます。私も大学病院に勤務していた際には退院カンファレンスで少し話をした程度で、関わりがあるとは言えませんでした。
しかし、地域医療・介護の世界に飛び出してからは、ケアマネジャーとの連携は必須であり関係性構築がとても重要ということを学びました!
今回は、ケアマネジャーとのスムーズな連携のために必要な基本用語から、具体的な会話例、よくある質問まで網羅的に解説します。状況に応じた適切なコミュニケーション方法を習得し、質の高いサービス提供を目指しましょう!

1. 訪問看護・訪問リハビリにおけるケアマネジャーとの連携の重要性

訪問看護や訪問リハビリテーション(以下、訪問リハビリ)を提供する上で、ケアマネジャーとの密接な連携は、利用者様一人ひとりに最適なケアを届けるための生命線と言えます。利用者様の在宅療養生活を多角的に支えるチームの一員として、それぞれの専門性を最大限に活かすためには、情報共有と共通認識の形成が不可欠です。

ケアマネジャーは、利用者様やご家族の意向を踏まえ、必要なサービスを組み合わせたケアプランを作成する中心的役割を担っています。私たち訪問看護師や理学療法士・作業療法士・言語聴覚士といったリハビリ専門職が日々の関わりの中で得た利用者様の心身の状態や生活状況、変化に関する情報は、ケアプランの精度を高め、より質の高いサービス提供へと直結します。

1.1 なぜケアマネジャーとの連携が不可欠なのか

在宅療養においては、利用者様の状態は日々変化しうるため、多職種間でのタイムリーな情報共有が求められます。特にケアマネジャーは、医療・介護サービス全体を統括する立場にあり、訪問看護師やリハビリ専門職からの専門的な情報は、以下のような点で極めて重要となります。

  • ケアプランの継続的な最適化:利用者様の状態変化や新たなニーズを迅速にケアプランへ反映させるため。
  • 多職種連携の円滑化:他のサービス事業者との情報共有を促し、チーム全体での支援体制を強化するため。
  • 利用者様・ご家族の安心確保:専門職からの客観的な情報に基づき、適切なアドバイスや支援を行うことで、利用者様やご家族の不安を軽減するため。

もし連携が不足すると、情報の行き違いやサービス提供の重複・漏れが生じ、結果として利用者様に不利益が生じたり、ケアの質が低下したりする恐れがあります。

1.2 連携がもたらす具体的なメリット

ケアマネジャーとの良好な連携は、利用者様、そして私たちサービス提供者双方に多くのメリットをもたらします。

1.2.1 利用者様へのメリット

  • 一貫性のある質の高いケア:多職種が同じ目標に向かって関わることで、途切れることのない、利用者様の状態に即したケアを受けることができます。
  • ニーズに即した迅速な対応:状態の変化や新たな要望に対して、ケアマネジャーを中心に迅速かつ柔軟にサービス内容の調整が行われやすくなります。
  • QOL(生活の質)の維持・向上:医療的ケアとリハビリが効果的に連携することで、身体機能の維持・改善だけでなく、精神的な安定や社会参加への意欲向上にも繋がります。

1.2.2 サービス提供者側へのメリット

  • 効果的・効率的なサービス提供:正確な情報共有により、各専門職が自身の役割に集中し、専門性を最大限に発揮できます。
  • 多角的な視点の獲得:他職種の専門的な意見や情報を得ることで、利用者様への理解が深まり、アセスメント能力やケアの引き出しが増えます。
  • チーム医療・チームケアの推進:互いの専門性を尊重し、協力し合うことで、より良いケアを目指す一体感が生まれ、専門職としてのやりがいにも繋がります。

このように、ケアマネジャーとの連携は、利用者主体のケアを実現するための基盤であり、日々のコミュニケーションの積み重ねが非常に大切です。

2. ケアマネジャーとの会話で頻出する基本用語

ケアマネジャーとの情報共有をスムーズに行うためには、共通言語となる専門用語の理解が欠かせません。ここでは、特に訪問看護・訪問リハビリの現場でケアマネジャーと会話する際によく使われる基本的な用語を、具体的な意味合いとともに解説します。これらの用語を正しく理解し使用することで、より的確な情報伝達が可能になり、利用者様への質の高いケア提供につながります。

2.1 状態を表す用語

利用者様の現在の心身の状態や生活状況を正確に把握し、ケアマネジャーへ報告・相談する際に用いられる重要な用語群です。これらの情報を共有することで、ケアプランの妥当性評価や見直しに繋がります。

2.1.1 ADL(日常生活動作)

ADLとは、「Activities of Daily Living」の略称で、食事、更衣、移動、排泄、入浴といった、人が日常生活を送る上で基本的な動作を指します。ケアマネジャーとの会話では、利用者様のADLがどの程度自立しているか、どのような介助が必要か、またその変化(向上・低下)といった情報が、ケアプラン作成やサービス調整の基礎となります。例えば、「最近、ご自身での食事摂取量が減少し、一部介助が必要になってきました」といった具体的なADLの変化を報告することが、適切な支援を検討する上で非常に重要です。

2.1.2 IADL(手段的日常生活動作)

IADLとは、「Instrumental Activities of Daily Living」の略称で、ADLよりも複雑で高次な生活機能を示す動作のことです。具体的には、電話の応対、買い物、食事の準備、調理、洗濯、掃除といった家事全般、服薬管理、金銭管理、公共交通機関の利用などが含まれます。IADLの状況は、利用者様の在宅生活における自立度や社会参加の状況を把握する上で重要な指標となります。ケアマネジャーはこれらの情報を基に、訪問介護サービスの導入や地域資源の活用など、より幅広い支援の必要性を検討します。

2.2 サービス内容に関する用語

介護保険サービスを利用する上で、その計画や提供体制に関する基本的な用語です。これらの用語を理解することで、ケアマネジャーとの連携がより円滑になります。

2.2.1 居宅介護支援

居宅介護支援とは、ケアマネジャー(介護支援専門員)が、要介護認定を受けた方がご自宅で適切な介護サービスを利用できるよう総合的に支援するサービスのことです。具体的には、利用者様やご家族の状況や希望に応じたケアプラン(居宅サービス計画)の作成、サービス事業者との連絡・調整、サービス利用状況の定期的なモニタリング(評価)、給付管理などを行います。訪問看護や訪問リハビリも、この居宅介護支援の枠組みの中で提供されるため、ケアマネジャーとの密な連携は不可欠です。詳細については、厚生労働省のウェブサイト「居宅介護支援」もご参照ください。

2.2.2 ケアプラン

ケアプランとは、利用者様がどのような介護サービスを、いつ、どのくらいの頻度や量で利用するかを具体的に定めた計画書のことです。正式には「居宅サービス計画書(要介護者向け)」や「介護予防サービス計画書(要支援者向け)」などと呼ばれます。ケアマネジャーが、利用者様やご家族の意向、心身の状態、生活環境、解決すべき課題などを総合的にアセスメント(評価・分析)し作成します。私たち訪問看護師やリハビリ専門職は、このケアプランに基づいてサービスを提供するため、内容を正確に理解し、設定された目標に向けてケアマネジャーや他のサービス事業者と情報共有しながら支援することが求められます。利用者様の状態変化に応じて、ケアプランの見直しをケアマネジャーに提案することも重要な役割の一つです。ケアプランの基本的な考え方については、介護サービス情報公表システムの解説ページ「ケアプランとは」も参考になります。

2.3 医療・介護保険制度に関する用語

介護サービスを利用する上で基盤となる、医療保険制度や介護保険制度に関連する用語です。制度の仕組みを理解することで、利用者様への説明やサービス提供の範囲について、ケアマネジャーと共通認識を持つことができます。

2.3.1 介護認定

介護認定とは、介護保険サービスを利用するために必要な、市区町村による「介護が必要な状態である」という公式な認定のことです。正式には「要介護認定・要支援認定」といいます。申請に基づき、認定調査員による訪問調査(心身の状況や日常生活に関する聞き取り・確認)や、主治医の意見書などをもとに、専門家で構成される介護認定審査会で介護の必要度合い(介護度)が総合的に判定されます。この認定結果によって、利用できるサービスの種類や月々の利用限度額が決まるため、利用者様にとっても私たちサービス提供者にとっても非常に重要な手続きです。詳細な流れは厚生労働省のウェブサイト「要介護認定に係る制度の概要」で確認できます。

2.3.2 介護度

介護度とは、介護認定によって判定された、介護の必要性の度合いを示す区分です。状態に応じて「自立(非該当)」、「要支援1・2」、「要介護1・2・3・4・5」のいずれかに区分されます。「要支援」は介護予防サービス、「要介護」は介護サービスの対象となります。数字が大きいほど、より多くの介護・支援が必要な状態と判断されます。ケアマネジャーとの会話では、利用者様の現在の介護度を正確に把握しておくことが、適切なサービス提供や情報共有、ケアプラン作成の前提となります。介護度によって、利用できるサービスの支給限度基準額(保険でカバーされる費用の月々の上限額)も異なります。

2.3.3 区分変更

区分変更とは、利用者様の心身の状態が大きく変化した際に、現在の介護度(要介護状態区分)が実態と合わなくなった場合に、その見直しを市区町村に申請する手続きのことです。「要介護状態区分の変更申請」とも呼ばれます。例えば、病状の進行や新たな疾患の発症により介護の必要性が増した場合や、逆にリハビリテーションの効果などで状態が著しく改善した場合などに、ケアマネジャーと相談の上、区分変更の申請を検討します。これにより、利用者様の状態に合った適切なサービス量や内容にケアプランを見直すことが可能になります。

2.3.4 保険給付

保険給付とは、介護保険制度に基づき、利用者様が介護サービスを利用した際に、その費用の一部(原則として費用の7割から9割、所得に応じて異なる)が介護保険から支払われることを指します。利用者様は残りの1割から3割を自己負担としてサービス事業者に支払います。訪問看護(医療保険適用の場合もあり)や訪問リハビリも、この保険給付の対象となるサービスです(利用する保険制度や条件により異なります)。ケアマネジャーは、利用者様の介護度に応じた支給限度基準額の範囲内で、保険給付が適切に行われるようケアプランを管理し、必要に応じて給付管理票を作成します。

3. 訪問看護・訪問リハビリでケアマネジャーと話す際の具体的な会話例

ケアマネジャーとの情報共有は、利用者様にとって最適なケアを提供するための第一歩です。ここでは、具体的な場面を想定した会話例と、その際のポイントを解説します。新入社員の皆様が、自信を持ってケアマネジャーと連携できるようになることを目指しましょう。

3.1 ADL・IADLの低下が見られるケース

利用者様のADL(日常生活動作)やIADL(手段的日常生活動作)に変化が見られた際は、速やかにケアマネジャーに報告し、今後の対応を相談することが重要です。客観的な事実と専門職としての評価を交え、具体的に伝えましょう。

3.1.1 訪問看護師からの報告例

訪問看護師:「〇〇様(ご利用者様名)のことでご相談です。最近、食事中にむせることが増え、誤嚥のリスクが高まっているように感じます。特に水分摂取時に顕著です。バイタルサインに大きな変動はありませんが、体重も微減傾向にあります。食事形態の見直しや、一度、言語聴覚士による嚥下評価をご検討いただけないでしょうか。」

ケアマネジャー(想定):「ご連絡ありがとうございます。〇〇様のむせ込み、心配ですね。体重減少も気になります。言語聴覚士への相談、すぐに手配してみます。食事形態についても、ご家族と相談しながら進めましょう。」

3.1.2 訪問リハビリ専門職(理学療法士)からの報告例

理学療法士:「〇〇様ですが、この1ヶ月で屋内での歩行時のふらつきが目立つようになり、転倒のリスクが高まっていると評価しています。以前はT字杖で安定して歩けていましたが、最近は壁に手をつく場面が増えました。ご本人も不安を感じていらっしゃるようです。福祉用具の見直し(例:多点杖や歩行器の導入検討)や、住宅改修(手すり設置など)の必要性について、サービス担当者会議でご相談できないでしょうか。」

ケアマネジャー(想定):「詳しいご報告ありがとうございます。〇〇様の転倒リスクは避けたいですね。福祉用具の専門相談員や住宅改修の業者さんにも声をかけ、次回のサービス担当者会議で具体的に検討しましょう。」

ADL・IADL低下を報告する際のポイントを以下にまとめます。

報告のポイント 具体的な内容
具体的な変化 いつから、何が、どのように変化したのか(例:「1週間前から、食事の際、以前よりむせる回数が増えた」)。
客観的な事実 観察された具体的な状況、バイタルサイン、検査データなど(例:「食事時間30分のうち5回むせた」「血圧180/90mmHg、脈拍105回/分」)。
専門職としての評価 その変化が何を示唆するのか、専門的な視点からのアセスメント(例:「嚥下機能の低下が疑われる」「バランス能力の低下により転倒リスク増大」)。
利用者様・ご家族の反応 変化に対するご本人やご家族の言葉、様子、困りごとなど。
具体的な提案 ケアプランの見直し、他職種への相談、福祉用具の検討など、具体的な対応策の提案。

3.2 サービス内容の変更を相談するケース

利用者様の状態変化や目標の達成、新たなニーズの発生などにより、現在のサービス内容が最適でなくなることがあります。その際は、ケアマネジャーにサービス内容の変更を提案・相談しましょう。

3.2.1 訪問看護師からの相談例

訪問看護師:「〇〇様ですが、先日退院されて在宅療養が始まりましたが、ご家族の介護負担が大きく、特に夜間の体位交換や排泄介助にご苦労されているようです。日中の訪問看護に加え、夜間対応型訪問介護の導入や、定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスの利用も視野に入れて、ケアプランの見直しをご検討いただけないでしょうか。」

ケアマネジャー(想定):「情報ありがとうございます。〇〇様ご家族の負担軽減は重要ですね。夜間対応のサービスについて、いくつか選択肢をご提案できるよう情報収集し、ご家族のご意向も伺ってみます。」

3.2.2 訪問リハビリ専門職(作業療法士)からの相談例

作業療法士:「〇〇様のリハビリについてご相談です。当初の目標であった『トイレまでの安全な移動とズボンの上げ下ろし自立』が達成できました。ご本人から『以前のように、庭で簡単な花の手入れをしたい』という新たな希望が聞かれています。つきましては、リハビリの目標を再設定し、屋外歩行練習や上肢機能練習を取り入れたいのですが、ケアプランの変更をお願いできますでしょうか。」

ケアマネジャー(想定):「目標達成おめでとうございます。素晴らしいですね。新たな目標に向けて、リハビリ内容の変更、承知いたしました。屋外歩行練習については主治医の許可が必要なので確認をお願いします。許可が出次第ケアプランに反映させますので、具体的な計画をまた共有してください。」

サービス内容の変更を相談する際のポイントは以下の通りです。

相談のポイント 具体的な内容
変更の必要性・根拠 なぜ変更が必要なのか(状態変化、目標達成、新たなニーズ、利用者・家族の希望など)を明確に伝える。
具体的な変更案 サービスの種類、頻度、時間、目標など、具体的にどのように変更したいかを提案する。
期待される効果 変更によってどのような良い影響が期待できるか(QOL向上、自立度向上、介護負担軽減など)を説明する。
多職種連携の視点 他のサービスとの兼ね合いや、チーム全体での目標共有を意識する。

これらの会話例やポイントを参考に、日々の業務でケアマネジャーとの円滑なコミュニケーションを心がけましょう。利用者様を中心としたチームケアを実現するためには、職種間の積極的な情報共有と建設的な対話が不可欠です。質の高い在宅ケアのためには、厚生労働省が推進する地域包括ケアシステムの理念に基づいた連携が求められます。

4. よくある質問:ケアマネジャーとのコミュニケーションで困ったときは?

訪問看護師や訪問リハビリ専門職がケアマネジャーとの連携で抱えやすい疑問や困りごとについて、具体的な解決策とともに解説します。円滑なコミュニケーションは、利用者様へのより質の高いサービス提供に不可欠であり、ケアプランの最適化や多職種連携の質の向上にも繋がります。

4.1 質問1 ケアマネジャーにご利用者様の心身状況を明確に伝えるにはどうすれば良いですか?

ケアマネジャーにご利用者様の心身状況を明確に伝えるためには、客観的な情報と具体的なエピソードを整理し、専門職としての評価を加えて報告することが重要です。口頭での報告に加えて、サービス提供記録書や連絡ノートなどを活用し、記録として残すことも意識しましょう。以下のポイントを押さえることで、より的確な情報伝達が可能になります。

4.1.1 報告のポイント

  • 5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)を明確にする:利用者様の状態変化や出来事を具体的に伝えます。「最近、食欲がないようです」といった曖昧な表現ではなく、「〇月〇日の訪問時、朝食を半分残されており、ご本人から『昨日から胃がもたれる感じがする』とのお話がありました」のように具体的に記述します。
  • 客観的なデータや数値を用いる:バイタルサイン(血圧、脈拍、体温、呼吸数、SpO2など)、食事摂取量、水分摂取量、排泄回数や性状、睡眠時間、痛みのスケール(NRS:ニューメリカルレーティングスケールなど)、関節可動域(ROM)、徒手筋力テスト(MMT)などの測定可能なデータは、変化を捉える上で非常に有効です。
  • ADL・IADLの変化を具体的に記述する:「以前は手すりを使えば一人でポータブルトイレに移乗できていたが、今週に入ってからは介助がないと危険な場面が増えた」「調理の際、手順を間違えることが多くなった」など、具体的な生活行為の変化を伝えます。
  • 利用者様やご家族の言葉(主観的情報)も重要:利用者様やご家族から直接聞いた言葉は、その方の思いや状況を理解する上で貴重な情報です。「『夜中に何度も目が覚めて眠れない』と訴えていました」「ご家族から『最近、日中の活動量が減って心配だ』と相談がありました」など、誰がどのように話していたかを伝えます。
  • 専門職としての観察・評価(アセスメント)を加える:観察された事実(客観的情報)と利用者様やご家族の言葉(主観的情報)を基に、看護師やリハビリ専門職としての専門的な視点から状況を分析し、考えられる原因や今後の予測、必要な対応策などを伝えます。「下肢筋力の低下と意欲の低下が複合的に影響し、離床機会が減少している可能性があります。短時間でも座位保持練習や気分転換を促す関わりが有効かもしれません」といった形です。

例えば、利用者様の転倒リスクが高まっている状況を報告する場合、以下のように情報を整理して伝えると、ケアマネジャーは状況を把握しやすくなります。

報告項目 具体的な報告内容例
利用者様氏名・報告日 〇〇様について、〇月〇日訪問時の状況をご報告します。
観察された事実(客観的情報) 本日、リビングからトイレへ移動される際に、壁に手をつきながらも足元がふらつき、転倒しそうになる場面が2回ありました。歩行速度も以前より低下しているように見受けられます。
利用者様の言葉(主観的情報) ご本人からは「最近、立ち上がる時にめまいがすることがある」とのお話がありました。
ADLの変化 以前は室内フリーで歩行されていましたが、ここ数日は見守りや軽い声かけが必要な状態です。
専門職としての評価・提案 起立性低血圧の可能性も考慮し、バイタル測定時の体位変化に注意するとともに、転倒予防のための福祉用具(歩行器や手すり設置など)の再検討や、リハビリテーションによるバランス練習の実施が必要ではないかと考えます。一度、サービス担当者会議などでご相談させていただけますでしょうか。

このように、多角的な情報を整理して伝えることで、ケアマネジャーはケアプランの見直しや関係機関との調整をスムーズに行うことができます。

4.2 質問2 ケアマネジャーへの連絡頻度はどのくらいが適切ですか?

ケアマネジャーへの連絡頻度について、明確な規定があるわけではありません。利用者様の状態の安定度、提供しているサービス内容、緊急性などによって、適切な頻度は異なります。重要なのは、「報告・連絡・相談(報連相)」を徹底し、必要な情報をタイムリーに共有することです。「報告が多すぎると迷惑かな?」と悩んでしまう場合がありますが、細かすぎるくらいが丁度良いというケアマネジャーもいますので、「状態変化や気付いたことがあったら都度お電話して大丈夫ですか?」など擦り合わせすることが大切です。
ケアマネジャーは業務量が多いので、このちょっとした配慮が関係性構築にはとても重要です。

4.2.1 連絡を検討する主なタイミング

  • 定期的な状況報告:訪問看護ステーションからは、月に一度、利用者様の状態やサービス提供状況をまとめた報告書を提出します。これはケアプランの評価や見直しに不可欠な情報となります。
  • 利用者様の心身状態に著しい変化があったとき
    • ADL(食事、排泄、入浴、更衣、移動など)やIADL(買い物、調理、洗濯、服薬管理、金銭管理など)の急激な低下または改善。
    • 発熱、転倒・転落、誤嚥、褥瘡の発生・悪化、新たな疾患の発症など、医学的な状態変化。
    • 認知症の症状(中核症状やBPSD:行動・心理症状)の進行や、精神状態の変化(抑うつ、不安、興奮など)。
    • 入院や退院、ショートステイなどの利用開始・終了時
  • サービス内容の変更や追加、中止の必要性を感じたとき:現在のケアプランでは対応が困難な状況や、新たなニーズ(例:福祉用具の導入、リハビリの目標変更など)が生じた場合、速やかに相談します。
  • ご家族や介護者の状況に変化があったとき:介護者の体調不良、介護負担感の増大、介護環境の変化なども、利用者様の在宅生活に影響を与えるため、情報共有が必要です。
  • インシデントやアクシデントが発生したとき:利用者様の安全に関わる事象が発生した場合は、速やかに事実関係を報告し、再発防止策などを協議します。
  • その他、ケアマネジャーに確認・相談したい事項があるとき:ケアプランの目標達成に向けた疑問点や、他サービスとの連携で気になる点など、些細なことでも共有することが大切です。

連絡手段は、電話、FAX、電子メール、事業所間で導入しているICTシステム(介護記録ソフトの連携機能など)、連絡ノートなど、状況や緊急度に応じて使い分けます。特に緊急性の高い情報は電話で一報を入れ、その後書面で詳細を報告するなど、確実な情報伝達を心がけましょう。事前にケアマネジャーと連絡を取りやすい時間帯や好ましい連絡方法について確認しておくことも、スムーズな連携に繋がります。

厚生労働省も「地域包括ケアシステム」の推進において、多職種間の情報共有と連携の重要性を強調しています。日頃から良好なコミュニケーションを築き、利用者様にとって最善のケアを提供できるよう努めましょう。

5. まとめ

ケアマネジャーとの円滑な連携は、質の高い訪問看護・訪問リハビリ提供に不可欠です。今回解説した内容を理解し、日々のコミュニケーションに活かすことで、利用者様の状況がより正確に伝わり、最適なケアプランの実現に繋がります。

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